賢く使おう!睡眠導入剤の効果的な使い方
不眠の改善方法のひとつとして睡眠導入剤というものがあります。
睡眠薬や睡眠導入剤と聞くと依存性などの危険ばかりが注目されてしまいますが、上手に利用することで睡眠不足を解消する足がかりにもなります。
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不眠に悩むあなたへ。睡眠導入剤の効果的な使い方
睡眠に関する悩みには様々なものがあります。その中でも特に「寝つきが悪く、なかなか入眠できない」と感じている方は多く、特に20代~30代の女性では約半数が何らかの睡眠障害を感じていると言われています。
自然に眠れることが一番よいことですが、長く不眠症で悩んでいるという場合には、睡眠導入剤を利用することも考えてみましょう。
「睡眠導入剤」と聞くと、副作用や依存性などが気になる方もいるかもしれませんが、最近の睡眠導入剤は医師の指示通り適切に使用すればきわめて安全なものです。
では睡眠導入剤について解説していきます。
睡眠薬のタイプを知ろう。4つの分類。
睡眠導入剤とは基本的には「寝つき」の改善に作用する薬剤全般を指します。
睡眠薬もその一種となりますが、ゆっくりと効き、効果の持続時間も長い睡眠薬に対し、睡眠導入剤は即効性があり効果も比較的短時間です。
持続時間による分類は
- 超短時間型(作用時間:2~4時間)
- 短時間型(作用時間:6~10時間)
- 中時間型(作用時間:20~24時間)
- 長時間型(作用時間:それ以上の時間)
以上の4つに分類されます。
処方される際の症状や薬の特徴を薬の名称とともにみていきましょう
超短時間型:・ゾルピデム(マイスリー)・トリアゾラム(ハルシオン)・ゾピクロン(アモパン)・エスゾピクロン(ルネスタ)
短時間型:・ブロチゾラム(レンドルミン)・ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール)・リルマザホン(リスミー)
処方される症状:慢性的でなく、一過性の不眠、なかなか寝付けない、寝つきが悪いと感じる場合
特徴:効果が短時間の為、寝始めの時に効果があり、目覚めが良いという特徴があります。
持ち越し効果(眠気が翌朝まで続いてしまうこと):短時間型については持ち越し効果が出てしまうことがあります。
中時間型:・フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)・ニトラゼパム(ベンザリン、ネルボン)・エスタゾラム(ユーロジン)・ニメタゼパム(エリミン)
長時間型:・クアゼパム(ドラール)・フルラゼパム(ダルメート、ベノジール)・ハロキサゾラム(ソメリン)
処方される症状:寝ても途中で目が覚めてしまう、一度目が覚めると目が冴えてしまい再び寝付くのが難しい、早朝に目が覚めてしまい再度寝たくても寝付けない、ぐっすり眠れない、寝た気がしないなどの症状に対応します。
特徴:効果が長時間のため朝まで眠るために処方される場合もあります。
持ち越し効果:中時間型は持ち越し効果が出てしまう場合があり、長時間型は薬の作用が1日中続きます。
知っておきたいデメリット。睡眠導入剤の副作用は?
基本的に医師の指示に従い用法と用量を守り適切な服用していれば、過度な心配はありません。しかし、自己判断で量を増やしたり、中止したりする、またアルコールと一緒に摂取すると危険を伴うことになります。その他にも自分の体質や症状に合わない薬を使った場合にもリスクが高まりますので絶対にやめましょう。
ここでは睡眠薬の副作用についてみていきます。
眠気が残る、抜けなくなる
睡眠をとりたい時間だけに薬の効果が発揮されることが理想ですが、翌朝まで眠気が続くなど薬の効きすぎによる副作用が起こる場合があります。
中間型や長時間型のように長い作用時間の薬にみられることが多く、1日たっても体から薬が抜けきれず、体内に溜まっていくことになり眠気を生じやすくなってしまいます。
対策としては、薬の調整(量の減少、作用時間タイプの変更)を行います。
ふらつき・転倒しやすくなる
睡眠薬には筋肉の緊張を緩める「筋弛緩作用」もあります。肩こりや身体の緊張が強い場合は良い方向に働くこともありますが、足腰が弱い方、高齢者などは足元のふらつきにつながることがあり注意が必要です。
対策としては、薬の調整(量の減少、作用時間タイプの変更)、筋弛緩作用の弱い薬への変更を行います。
ものわすれ(健忘)が起こる
・睡眠薬を服用したときの記憶がなくなる
睡眠薬が中途半端な覚醒状態を起こし、海馬などの記憶に関する脳の機能が低下するため、いわゆる「物忘れ」(前向性健忘)と言われる状態が起こります。
特に睡眠薬が急激に作用するときに起こりやすいため、強い薬の使用やアルコールとの併用でリスクが高まると言われています。
対策としては、寝る直前に服用するようにする、アルコールと一緒には飲まないことを厳守し、それでも不十分な場合は薬の調整を行います。
薬が効きにくくなる・やめられなくなる(耐性・依存・離脱症状)
睡眠薬を長期間続けることで、身体が薬に慣れてしまい薬を減らすと不眠が強くなってしまうことがあります。この症状を離脱症状といい、薬の量は増えないけどやめることができないという状態です。
また睡眠薬の種類によっては依存性があるものもありますので、必ず確認をしておきましょう。
対策としては、薬の調整(種類の変更、作用時間タイプの変更)を行います。
質の良い眠りのために。まずは適切な対処法を
睡眠障害を感じたら、早めの対策が必要です。まずは生活習慣を整え、適切な睡眠時間を確保できる環境を整えます。それでも眠れない、寝つきが悪い、という状況が続くようであれば、専門家を受診して自分に合った対処法をとりましょう。
睡眠導入剤についても、きちんと説明を聞き、リスクとメリットを考えて使用を判断していきます。正しい用法用量を守って使用すること、状況を観察しながら使用法を相談していくことを前提に、上手に薬を活用していくことが大切です。
正しい飲み方。睡眠導入剤を使う時に気を付けたいことは?
睡眠導入剤のリスクも把握した上で、正しい飲み方を心がけることが大切です。
ポイントをまとめてみましょう。
- アルコールと一緒に飲まない
- 依存しにくいタイプの睡眠薬を使用する
- できるだけ少量・短期間で使うようにする
- 短時間の睡眠のためには使用しない
- 状況に合わせて使用する
当たり前なことではありますが、アルコールと一緒に摂取するのはやめましょう。アルコール自体が深い睡眠を妨げるものなので、睡眠薬の意味が無くなります。
睡眠薬に頼りきりではなく、自分の身の回りの環境なども見直して睡眠不足の原因を取り除きながらその補助に睡眠薬を服用していくと良いですね。
薬に頼るまえにできること。よい睡眠習慣をつけよう。
睡眠導入剤で不眠症の改善は期待できますが、よい睡眠習慣をつけること、よい生活習慣をつくっていくことが不眠症解消へのベースとなります。
次に生活習慣と睡眠の関係、生活への影響もみていきましょう。
これってもしかして…睡眠不足が原因?
では睡眠トラブルが原因で現れやすい症状にはどのようなものがあるのでしょう。
具体的な症状をみていきます。
イライラ、焦り。心的ストレスの増加。
不眠症が続くことで、イライラや焦り、やる気が出ないなど心的なストレスを抱えてしまうことがあります。
ひどい場合にはうつ症状にまで重症化し、改善することが難しくなることもありますので、長期的な不眠を感じたら、早めにメンタルクリニックや睡眠外来などを受診するようにしましょう。
にきび、くすみ。肌のトラブルにも影響。
就寝時間が不規則になる、睡眠時間が減少するなどリズムが乱れることで、肌のトラブルが生じることがあります。成長ホルモンは体内時計に影響されるため、生活のリズムが壊れると肌の生まれ変わりがスムーズにいかなくなり「くすみ」ができる、また男性ホルモンの分泌も促進されることで皮脂が過剰になり「にきび」ができやすくなります。
できるだけ決まった時間に睡眠をとるようにし、美容のためにも睡眠の質をあげていきましょう。
疲れがとれない、だるい。日常生活の支障。
翌朝も眠気がとれず、身体のだるさが続くと日常生活にも支障がでてきます。勤務先でのミスが増え。仕事面での質の低下や、家事が億劫になるなど生活面での質も低下も考えられるため、自分だけでなく周りの人にも迷惑がかかってしまうことになります。
そうなる前に、家族や職場の人に相談して早めに適切な対策をとるようにしましょう。
まとめ
睡眠不足、睡眠のトラブルは生活面や精神面、そして美容にも悪影響を及ぼします。不眠症には様々な原因もありますが、正しい対処法を実践していくことで改善することが見込めます。ひとりで悩まず専門家に早めの相談をするようにしましょう。