歯ぎしりはなぜ起きる?寝ている間の枕と歯の関係
睡眠中にギリギリと歯をかみ合わせてしまう「歯ぎしり」。本人は気づいていない場合もある症状ですが、ご家族に指摘された、歯の治療時に医者に指摘された、という方も多いのではないでしょうか?
歯ぎしりは歯のトラブルだけでなく、他の病気を引き起こす原因にもなり睡眠にも大きな支障をきたすと言われています。今回はその歯ぎしりの原因と睡眠時の対策についてご紹介していきます。
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歯ぎしりには3つのタイプがある?
歯ぎしりとはじめとした、顎や顔の成長を阻むような癖を専門用語では「プラキシズム(口腔内悪習慣)」といい、無意識に歯を強く噛みしめたり、こすり合わせたりすることでカチカチ、ギシギシといった、きしり音を出してしまう症状のことを言います。一般的には睡眠時に起こることが多い症状ですが、昼間無意識に行ってしまう場合もあります。
歯ぎしりの種類には3つのタイプがあります。
グラインディング
- 上下の歯を擦り合わせるタイプ。
- ギリギリという音が聞こえるのが特徴。
- 一般的な歯ぎしりのタイプと言われる。
- 大きな圧力がかかるため歯や顎、顎関節に影響がでることがある。
クレンチング
- 上下の歯を強く噛みしめるタイプ。
- 音がしない。
- ストレスなどで歯を噛みしめている場合にも起こる。
- 肩こりや歯が欠ける、顎に痛みを感じることがある。
タッピング
- 上下の歯を合わせるタイプ。
- リズミカルにカチカチと音を鳴らすのが特徴。
- 他の歯ぎしりに比べ、歯は顎への影響は少ない。
実は歯ぎしりは人口の5~15%の人が行っているとされ、どのタイプの歯ぎしりもさほど珍しいものではありません。
また寝ている間は誰でも多少は歯を合わせていると言われていますので、多くの人が経験したことがある症状でもあるのです。
ただ、その歯ぎしりが長い期間続いている場合、また睡眠時に起こっている場合には気を付ける必要があります。
特に気をつけるべき、眠りと歯ぎしりの関係
睡眠時の起こる歯ぎしりのことは、「睡眠時プラキシズム」と呼び、特に注意が必要だとされています。
実は、睡眠時に起こる歯ぎしりは、浅い睡眠(レム睡眠)時に起こることがわかっています。
人間は睡眠の深い状態(ノンレム睡眠)の時には筋肉の動きも抑制されるので、動きもあまりありませんが、浅い眠りになったときにはその抑制はなくなるため、頬や顎の筋肉も動きだし歯ぎしりが起こると考えられています。
浅い睡眠の状態になりやすい人は、歯ぎしりも起きやすいということがいえますが、さらに問題なのは、浅い眠りの間の動きは、目が覚めているとき、深い眠りのときよりも、抑制が効かない無意識の状態ということです。無意識で起こる歯ぎしりはそれだけ歯や顎により大きな負担をかけてしまう心配があるのです。
他にもある、歯ぎしりが起きる原因
浅い睡眠とともに、歯ぎしりの原因として指摘されているものは、このようなものがあります。
飲酒・喫煙・カフェインの接種
アルコールやタバコ、強いカフェインを接種することは、睡眠を浅くし、眠りの質を下げることになります。睡眠が十分にとれなければ歯ぎしりをしやすい浅い睡眠となり、またストレスの元となります。
逆流性食道炎
強い酸性の胃液や胃酸、消化中の食べものが食堂へと逆流し、食堂が炎症を起こす症状です。胃酸が逆流するときに口の中が酸性に傾くため中性に戻そうとする働きで唾液が分泌されますが、そのときに歯ぎしりをしてしまうことがあります。
歯並び
歯並びが悪いことでかみ合わせが安定せず、ストレスにつながることにもなります。小さな子どもでは成長中の歯、虫歯や歯周病、老化などによっても歯並びが変動するためその過程で歯ぎしりが起こるとも言われています。
睡眠時の姿勢(寝具、枕の不一致)
寝ている枕の高さが合っていない場合、枕が高すぎると顎が下がり歯を噛みしめやすくなる、また体に合わない枕を使っていると、寝返りも打ちにくく、質の良い睡眠がとれていないため眠りが浅くなる、などということも原因になる場合があります。
ストレス
人はストレスを感じると無意識に体を揺らしたり歯を噛みしめたりという行動が現れます。歯ぎしりもそのひとつと考えられています。
睡眠時無呼吸症候群
寝ている間のいびき、また睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の場合も、眠りが浅くなる傾向があるため歯ぎしりをしやすいと言われています。
遺伝による要因
特定の遺伝子をもつ人に歯ぎしりをしやすい傾向があることがわかっています。
歯ぎしりの原因は人によって異なるものですが、最も多い睡眠時の歯ぎしりの原因として考えられるものは、寝ているときの姿勢やストレスによる浅い眠りの状態、眠りの質がポイントになるようです。
放っておくと怖い?!歯ぎしりで起こる悪影響は
歯ぎしりの音が気になる、うるさい、など周りの人に迷惑をかけるだけでなく、その症状を長期間放っておくと体にも影響がでてきます。起こりうるリスク、悪影響をみていきましょう。
顎関節症
顎関節や顎の筋肉に支障がでることで、口を大きく開けることができない、顎が痛い、という症状が起こります。ひどくなると口の開閉に支障をきたし、食事がとりにくくなるなど重症化することがあります。
歯並びが悪くなる
歯ぎしりで長い時間歯に強い力が加わっていると、歯が欠けたり、擦り減ったりと噛み合わせ面がダメージを受け歯並びに影響がでてきます。ひどい場合には歯が折れることもあり、何本も抜けてしまうといった症例もあるほどです。セラミックやインプラントの歯も破損してしまうことがあるので、注意が必要です。
歯並びが悪いことで歯ぎしりが起こる、とも考えられますが、逆に歯ぎしりにせいで歯並びが悪くなる、ということ最近の研究ではわかっています。
歯並びが悪くなるだけでなく、歯ぎしりによって歯がすり減ると歯のエナメル質が磨耗し、象牙質が露出、冷たいものがしみたりものを噛む時に痛みを感じるようになります。
頭痛・肩こりの原因
歯ぎしりをするときに、顎から頭の方へ力が働き、側頭筋の緊張から頭痛が起こることがあります。また顎、首、肩の方へも力は伝わっているので、肩の筋肉にも支障が起こり、肩こりの症状も現れることがあります。
手軽にできる歯ぎしり対策に枕を変えてみる
歯ぎしりの対策として手軽にできることは、枕を変えてみることです。
自分の体型に合っていない枕をつかっていると、寝返りも上手にできなくなり、眠りの浅い状態が続くことで質の良い睡眠がとれなくなります。
しっかりと眠れないことはストレスも蓄積してしまいますし、歯ぎしりの原因のひとつである、無呼吸症候群のリスクも高まります。枕で軽減できることもありますので、気になる方はまず今の自分の枕をチェックしてみましょう。
当てはまる原因はありましたか?
子どもから大人まで寝ている間の無意識中に起こる「歯ぎしり」について、ストレスなど心的な原因とともに特に寝ている間の状態、眠りの浅さや寝ている姿勢、枕の高さなど様々なことで歯ぎしりが引き起こされているようです。
自分では気づきにくい歯ぎしりの症状ですが、放っておくと身体に深刻な悪影響が現れてきますので、寝具の見直しや生活環境の改善など、自分の為、家族のためにも早めの対策を行うようにしょう。