筋トレで睡眠の質が上がる?その意外な関係
ダイエット目的や筋力アップを目的に、ジムや自宅で筋トレに励んでいらっしゃる方も多いと思います。意外に思われるかも知れませんが、実は筋トレをすると、睡眠の質の向上することが分かってきています。
また、筋トレをおこなったあとに睡眠を取ることで、筋肉の成長も早まることが分かっています。今回は、いいことだらけの筋トレと睡眠の関係について見ていきたいと思います。
Contents
睡眠とは
睡眠と筋トレとの意外な関係について解説する前に、まずは睡眠とはどのようなものなのかを理解しておきましょう。
睡眠の定義はなかなか難しいのですが、ヒントは「周期的に意識を喪失する生理的な状態」にあります。つまり、生理的な状態でない場合、それは厳密な意味では睡眠とは言えないのです。
鈍器で殴打されて昏倒したり、麻酔などの薬物によって意識を失ったりしている場合、一見すると睡眠状態と変わらないように見えますが、それは睡眠ではありません。そういった意味では、泥酔状態も厳密には睡眠と言えないでしょう。
レム睡眠とノンレム睡眠
正常な睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があることをご存じのことと思います。レム睡眠とは眠りに落ちた、まだ睡眠の浅い時間帯の睡眠のことを指します。
私たちが夢を見るのは、レム睡眠のときだといわれています。レム睡眠のときには、身体は動いていないのですが、脳は活発に活動しています。
一方、ノンレム睡眠の時間帯は、脳は寝ていますが、感覚器官は筋肉とつながっている状態のことを言います。簡単にいうと、レム睡眠は「身体を休めるための時間」で、ノンレム睡眠は「脳を休めるための時間」だということも可能です。
ノンレム睡眠は4段階に分けられており、眠りの浅いから第1、第2ステージ、そして第3、第4ステージとなっています。中でも第3、第4ステージのことを徐波睡眠と呼んでおり、もっとも睡眠の深い時間帯だとされています。
筋トレが睡眠に及ぼす影響
睡眠の仕組みについて簡単にですが知って頂いたところで、次に、筋トレが睡眠に及ぼす影響について見ていきたいと思います。筋トレをすれば単純に疲れるので睡眠が深くなる、といったシンプルな理由だけではないようです。
睡眠の質を向上
これまで、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が、睡眠の質を深めることに関しては、医学的にも証明されていました。ところが、筋トレをおこなうことで睡眠の質が向上するという有意なデータはありませんでした。
ところが2017年になって、マックマスター大学(カナダ)教授らの研究によって、「筋トレ(レジスタンストレーニング)は、睡眠の時間は伸ばさないが、睡眠の質を向上させる」ということが証明されたのです。
筋トレをする習慣のある人の睡眠を詳しく見てみると、ノンレム睡眠の第1ステージが短縮され、その分、徐波睡眠の時間が増大していることが分かったのです。簡単にいうと、ぐっすりと寝られているということです。
成長ホルモンの分泌が増大
筋トレをおこなってなぜ筋肥大が起こるかというと、筋トレによって断裂した筋線維が回復するとき、以前の負荷では切れないように太く、強くなるからだと考えられています。そして、このメカニズムのことを「超回復」と呼んでいます。
超回復については否定的な意見もあるのでここでは詳しく述べませんが、東京大学の石井直方教授によると、筋トレをおこなうことで成長ホルモンの分泌が促され、それがたんぱく質(筋肉)の合成を促進するということです。
睡眠が筋肉にもたらすもの
筋トレによって睡眠の質が向上するということでしたが、それでは、睡眠を取ることによって筋肉に何がもたらされるのでしょうか。
筋肥大
睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは睡眠に入ってから90分くらい経つと分泌され始めるといわれていますが、これはちょうど、レム睡眠からノンレム睡眠へと切り替わるタイミングに合致するということです。
そのため、筋トレをおこなったあとに良質の睡眠を取ることで、効果的に筋肥大を起こすことができるのです。せっかく筋トレをおこなっても、睡眠不足や夜更かしをしていては意味がないのです。
疲労回復
睡眠は筋疲労の回復ももたらします。成長ホルモンには筋肉を再生し、血行を促進し、回復を促す働きがあります。そのため、筋トレは毎日ではなく、2日に1回、もしくは3日に1回おこなうとよいとされているのです。
睡眠の質を向上させる簡単筋トレ法!
筋トレは睡眠の質を向上させ、睡眠は筋トレの効果を高めるという、まさに一石二鳥の効果のあることが分かりました。でもジムに行ったり、外に出かけるのは面倒…という方も多いかと思います。そこで、自宅でもできる簡単な筋トレ法を紹介しておきたいと思います。
スプリットスクワット
スプリットスクワットは、足を左右に開いておこなう通常のスクワットとは異なり、足を前後に開いておこなうタイプのスクワットです。筋力の弱い女性でも比較的簡単にでき、膝や腰を痛める可能性が低いというメリットも
あります。
(やり方)
1.足を前後に大きく開く
2.膝を曲げながら上体をまっすぐ下におろす
3.前の膝が90度、後ろの膝が135度の位置で停止
4.2秒かけておろし、4秒かけて元の姿勢に戻します
5.10回したら反対も同様におこないましょう
上体をおろすときに、前後左右にぶれないように気をつけましょう。また、前の膝がつま先より前に出ると、膝を痛める可能性が高くなります。その時は、もう少しスタンスを広げましょう。慣れないうちは、壁際で壁に手を添えておこなうとよいでしょう。
カーフレイズ
カーフレイズはふくらはぎを鍛える筋トレです。ふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれており、収縮させることで全身の血行がよくなり、睡眠の質を向上させる効果もあります。
(やりかた)
1.両足を肩幅に開く
2.両足は「ハ」の字にならないようまっすぐに
3.かかとを上げてつま先で立つ
4.5秒したらおろす
最初は10回を目標におこない、慣れてきたら回数を増やしましょう。足の「ハ」の字を常に意識することで重心バランスを安定させ、脂性の改善にもつながります。
まとめ
筋トレと睡眠との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
筋トレをすることで睡眠の質が上がり、睡眠の質が上がることで効果的に筋肉がつくという、理想的な関係であることが分かりました。これから筋トレをしようという人や、睡眠の質の低下に悩まされている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。