寝姿勢で骨格が歪む?寝姿勢ごとのメリットデメリットを紹介
雑誌やインターネットの記事を見ていると、骨格の歪みによって寝姿勢に変化が見られるとか、寝姿勢によって骨格がゆがむなどと書かれているケースがあります。また、正しい寝姿勢に関してもいろいろなことが書かれています。そこで今回は、いろいろな寝姿勢のメリットやデメリット、そして骨格に与える影響について見ていきたいと思います。
Contents
仰向け寝について
寝姿勢が骨格に与える影響について考えるために、まずはどのような寝姿勢にどんな特徴やメリット、デメリットがあるのかについて知っておきましょう。まずは、仰向け寝について見ていきたいと思います。
特徴
仰向け寝の特徴としては、身体にかかる圧が均等である、ということがあげられます。人間の背骨を横から見ると、緩やかなS字になっていますが、寝るときにもそのS字を保つようにすることが重要と考えられています。仰向けで寝ると、そのS字が比較的保ちやすいとされています。
メリット
仰向け寝のメリットとしては、身体にかかる負担が少ない、ということがあげられます。仰向けで寝ると身体の各所にかかる圧が均等になるため、リラックスして寝やすいとされています。女性の場合、顔の肌ケアにも効果的です。肌にとってもっとも避けるべきことが乾燥と摩擦ですが、横向き寝やうつぶせ寝だと、顔が枕に押し付けられることとなるため、顔の肌の皮脂が奪われ、乾燥して肌が荒れやすくなります。
仰向け寝だと顔の肌にかかる負担を除くことができるため、化粧水や乳液で保湿した効果が朝まで持続することとなるのです。
デメリット
仰向け寝のデメリットとしては、いびきをかくリスクが増大する、ということがあげられます。仰向けで寝ていると舌の根が喉の奥に入り込んで、気道が狭くなってしまいます。特に太っている人や鼻が詰まっている人、首周りに脂肪がついている人(二重あごなど)、鼻が小さい人などの場合、仰向けで寝ているといびきをかく可能性が高くなります。単純ないびきであればそれほど心配することはないのですが、いびきにともなって睡眠中の呼吸の停止や低下がみられる場合、睡眠時無呼吸症候群の疑いもあります。
睡眠時無呼吸症候群を発症すると、ぐっすりと眠ることができなくなるため、日中に眠気を催したり、集中力や記憶力が低下したりと、著しく生活の質(Q・O・L)が低下します。
また、枕を高くしていると首の筋肉が圧迫されるため、首こりや肩こり、頭痛のリスクが高くなります。反対に、枕が低すぎたり、枕を使っていなかったりすると、腰痛のリスクが増大します。
横向き寝について
それでは次に、横向き寝について見ていきたいと思います。横向き寝にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
特徴
横向き寝は右肩を上にしたり、左肩を上にしたりする寝方です。特徴としては、下になったサイドに大きな圧がかかる、ということがあげられます。
メリット
横向き寝のメリットとしては、上になったサイドにかかる負担を減らせるということがあげられます。四十肩や五十肩で左肩が痛いような場合、左肩を上にして寝ることで、左肩の痛みを軽減することができます。また、食べたものの消化・吸収を助けるためにも横向き寝は効果的だとされています。腰痛を緩和するためにも、横向き寝が効果的だということです。
デメリット
横向き寝のデメリットはメリットの裏返しで、下になった方に大きな負担がかかるということです。毎日のように同じ側を下にしていると、コリや緊張が生じやすくなってしまいます。
うつぶせ寝について
うつぶせ寝はその名の通り、うつぶせになった状態で、顔だけ横に向けて寝ることを言います。では、うつぶせ寝の特徴について見ていきましょう。
特徴
うつぶせ寝の特徴としては、内臓諸器官に与える影響が大きい、ということがあげられます。また、顔を横に向けるケースがほとんどなので、首や肩にも強い圧力がかかります。
メリット
うつぶせ寝のメリットとしては、舌の根が喉の奥に落ち込むことがないため、いびきをかきにくいということがあげられています。
デメリット
うつぶせ寝のデメリットとしては、内臓を圧迫するため消化が悪くなるということや、首や肩にかかる負担が大きいため、肩こりや頭痛になりやすくなるといったことがあげられています。
また、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)の原因にもなることから、乳幼児のうつぶせは避けるべきだとも指摘されています。
正しい寝方なんてあるの?
寝姿勢は大きく分けて上記の3つに分類されますが、では、どれが正しい寝姿勢のでしょうか。そもそも、寝姿勢に正解なんてあるのでしょうか。
仰向け寝が最強?
寝姿勢について考察している雑誌の記事やインターネット上の記事を見ていると、そのほとんどが仰向け寝を推奨しています。仰向け寝で寝ると、身体にかかる負担が少ない、というのがその論拠となっています。
医学的根拠は乏しい
寝姿勢に関しては、乳幼児突然死症候群を引き起こすリスクの高いうつぶせ寝を除き、医学的根拠に乏しい説が多いようです。身体にとってよくないとされるうつぶせ寝に関しても、100歳を超えて現役の医師であった故・日野原重明さんはうつぶせ寝を実践していました。
そもそも、健康な人の場合、一晩に20回以上も寝返りを打つとされています。寝姿勢に関してどうこう議論する以前に、寝返りが打てているかどうか、また、寝返りが打てるような環境にあるのかどうかを考察することが重要です。子供は寝相が悪いものですが、寝相が悪いのは身体にとって、とてもよいことなのです。というのも、寝ている間に、自然と圧がかかる場所を分散できるからです。
朝になっても布団やシーツが全く乱れていないという人の方が、かえって健康上の問題を抱えていたり、睡眠の質が悪かったりするものなのです。
よい寝姿勢を作るためのコツ
よい寝姿勢を作るためには、身体にかかる負担が少なく、また、寝返りを打ちやすい環境を作ってあげるのが一番です。そのためには、マットレスや枕を見直すことが重要です。あまりに柔らかいマットレスで寝ていると、寝返りを打つのが困難となります。逆に、硬すぎるマットレスだと身体にかかる負担が大きくなってしまいます。
枕は高すぎず低すぎず、自分に合った高さのものを選びましょう。また、枕と首、布団と首との間に隙間ができると、寝返りが打ちにくくなります。そのような人は、応急処置として細長く丸めたタオルを首の下に置くようにしましょう。そうすることで寝返りが打ちやすくなるだけでなく、首こりや肩こりの予防にもつながります。
寝姿勢が骨格に与える影響
毎日のように同じ寝姿勢をしている場合、骨格に影響を及ぼすこともあるでしょう。ただ、寝ている間には自然に寝がえりをしているものなので、骨格が歪むような心配はありません。むしろ、起きているときの姿勢の方が、骨格に与える影響が多いことを知っておきましょう。
まとめ
今回の記事では、さまざまな寝姿勢のメリットやデメリット、よい寝姿勢を作るためのコツについて紹介しました。なによりも重要なことは、寝返りが自然に打てる環境を作り、良質の睡眠を得ることです。また、寝姿勢を意識するよりも、起きているときの姿勢に傾注しましょう。なぜなら、起きている時間の方が長いのですから。