合わない枕は腰も痛める?枕は腰痛に関係あるの?
日本人の多くを悩ませている腰痛、マットレスが原因で腰痛になるということを知っている人は多いと思いますが、枕も腰痛の原因になることがあります。では、どのような枕が腰痛を引き起こしてしまうのでしょうか。
今回は、腰痛が起こる根本的な原因について究明するとともに、腰痛を改善するためには、枕をはじめとした寝具をどのように工夫したらよいのかについても解説したいと思います。
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腰痛は枕などの寝具に左右される?
「枕を変えたら腰痛がひどくなった」とか、「布団を変えてから寝つきが悪くなった」という経験をお持ちの方はたくさんいらっしゃることと思います。では、腰痛を悪化させる枕や布団はあるのでしょうか。
腰痛を悪化させる枕とは
一般的に、枕が高すぎると首や肩に負担がかかり、枕が低すぎると腰に負担がかかるといわれています。しかし、低い枕でも横向きで寝れば首や肩に負担がかかるので、一概に枕の高低だけで腰痛が悪化するとは言えません。
腰痛を悪化させる枕としては、寝返りの回数が少なくなる枕があげられます。低反発枕の中には、頭が沈みこみすぎることで、寝返りを打ちづらくなるものがありますね。
寝返りの回数が減少すると、それだけ「じっとしている」時間が長くなります。そうなると、寝ている間にも筋肉が緊張することとなります。その結果、腰痛が悪化してしまうこともあるのです。
腰痛を悪化させるマットレス
寝起きに腰を中心として体が痛い、となった場合にまず考えるのがマットレスだと思います。低反発枕があるように、低反発のマットレスもあります。適度に身体が沈み込むことで、身体にかかる圧を分散(よく言われる体圧分散)してくれるのですが、やはりものによっては寝返りが打ちづらくなり、腰痛が悪化するリスクファクターとなり得ます。
現在様々な種類の低反発素材のマットレスが販売されていますが、低反発素材のみのマットレスは少し注意が必要ですね。
腰痛は睡眠習慣にも左右される
腰痛は枕や布団などの寝具だけが問題なのではなく、睡眠習慣など複数の要因が絡み合って起こるものです。では、腰痛を悪化させる睡眠習慣としては、どのようなことがあげられるのでしょうか。
寝相が良いのは身体に悪い?
寝相が良いのはいいことのように思われますが、腰痛に関していうと、寝相のよさが腰痛の改善につながるとは言えません。先ほども少し触れましたが、腰痛の原因は同一姿勢を長時間とっていることです。
寝相が良いというのは、寝返りの回数が少ないということでもあります。では、人はなぜ寝返りを打つのでしょうか。それは、寝返りを打たないと、特定の場所にばかり負担がかかり続けるからです。
小さい子供は毎朝元気に起きてきますが、それは、小さい子供の睡眠の質が高いからです。そして、その睡眠の質の高さは、寝返りの回数によって担保されているのです。
小さい子供は見るたびに寝相が変わっていますが、それによってナチュラルに身体にかかる負荷を逃しているのです。朝起きたときに布団やシーツが一切乱れていないという人は、むしろ睡眠の質がよくないと考えた方がよいでしょう。
寝酒は腰痛を悪化させる?
夜寝る前に、お酒をたしなむ方もいらっしゃることと思います。「酒は百薬の長」などと言われるように、少量のアルコールは身体をリラックスさせ、自然な眠りに誘ってくれます。
ただ、アルコールには覚醒作用もあるため、たくさんお酒を飲んでしまうと、睡眠の質が低下することになります。私たちの体内では、寝ている間に細胞分裂が活発に起こり、身体の修復をおこなっています。
ところが、たくさんアルコールを摂取すると、そのアルコールの分解に多くのエネルギーが割かれることとなります。その結果、身体の修復が遅くなり、腰痛の悪化するリスクが上昇するのです。
そもそも腰痛はなぜ起こる?
腰痛やなんらかの腰の不具合を感じている人は、日本に3000万人ほどいるとされています。では、なぜこれほど多くの人が腰痛に悩まされているのでしょう。腰痛の原因としては、以下のようなことが指摘されています。
医学的な見解
日本の医学は現在、西洋医学に基づいた画像診断を中心におこなわれています。そして、画像診断に基づいて判断を下すと、腰痛の85%が「原因不明」だとされています。
残りの15%に関しては、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎分離症や腰椎すべり症など、MRIやCTスキャンなどで明らかに異常がみられる疾患があげられています。しかし、これだけ多くの腰痛持ちがいるのに、85%が原因不明というのはどういうことなのでしょうか。
腰痛の治療法に関しても、驚くようなガイドラインが示されています。2012年に改定された「腰痛診療ガイドライン(日本整形外科学会・日本腰痛学会)」によると、急性期の腰痛に対しては、薬物療法を推奨するとされています。
いわゆる痛みどめやシップ、神経ブロック注射などがそれに当たります。そこまではまだいいのですが、1ヶ月以上続く慢性的な腰痛には、抗不安薬や向精神薬など、精神安定剤の処方を強く推奨するとされているのです。
原因が分からない慢性的な腰痛は「気のせい」だというのでしょうか。驚かれるかも知れませんが、これが日本の腰痛治療の最前線です。「整形外科に行ったけど腰痛が治らなかった」という人のほとんどが、このような治療を施されている訳なのです。
東洋医学的観点からみた腰痛の原因
東洋医学というと、「なんとなく胡散臭い」と思われている人もいらっしゃるかもしれませんが、最近の東洋医学は、西洋医学のよいところも取り入れており、腰痛改善にも高い効果を発揮しています。
東洋医学的な施術をおこなっている治療院では、筋肉の緊張によって、痛みが生じると考えています、なぜなら、筋肉は骨と骨とを結んでいるため、筋肉の緊張によって引っ張られた部分に、痛みが生じると考えているからです。
痛みは神経が圧迫されることによって起こりますが、神経圧迫は深い部分で起こっていることが一般的です。そのため、筋肉の緊張も深い部分にあると考えられるのです。深い部分の筋肉が緊張してしまうのは、同じ姿勢を継続していることや血行不良などがあげられています。
腰痛を改善するために気をつけたいこと
腰痛の原因の多くは、血行不良や筋肉の緊張によって起こると考えられます。そのため、腰痛を改善するためには、血行を良くして筋緊張を緩和することが重要です。そこで、以下のようなことに気をつけましょう。
枕などの寝具を変える
他に思い当たることがないのに腰痛が治らない場合は、枕をはじめとした寝具を見直してみましょう。低反発の枕がはやっていますが、低反発枕は頭が沈み込むため、寝返りが打ちづらくなるというデメリットがあります。
布団もあまり柔らかすぎると、触り心地が良い反面寝返りがうちづらくなるため、やはり筋緊張をひどくするリスクがあります。寝がえりが自由にうてる、自分に合った快適な寝具を探しましょう。
睡眠の質を高める
腰痛を改善するためには、睡眠の質を高めることも重要です。そのためには、適度に身体を動かすようにしましょう。身体が疲れていれば、自然に睡魔が訪れるものです。
とは言うものの、寝る前に運動をするのは避けましょう。運動をすると交感神経が優位になります。車で例えるならアクセルを踏んでいるようなものです。そのような状態では寝られないことが明らかだと思います。
腰痛を改善するためのひと工夫
寝ている間に腰痛を改善するためには、寝る前や寝るときにひと工夫してみましょう。以下のようなことを実践することで、腰にかかる負担を減らすことができますよ。
抱き枕を使う
腰痛を持っている人は、痛む方を上にして横向きになり、抱き枕を抱いて寝ると、腰にかかる負担を減らすことができます。抱き枕以外にも、布団やクッションを膝のあいだに挟むという手もあります。
寝る前にストレッチ
寝る前に、ストレッチをするのも腰痛改善に効果的です。腰痛にかかわる筋肉をストレッチすることで、腰痛の緩和につなげることが可能です。
また、ストレッチには副交感神経を優位にし、血行を促進する効果もあります。血液は身体の隅々に酸素と栄養を運んでいるので、血行がよくなれば、身体の回復も早くなるという訳なのです。
まとめ
腰痛と枕の関係について見てきました。腰痛持ちの人が枕を選ぶ際には、自然に寝がえりがうてるような枕を選びましょう。また、筋肉の緊張を緩和し、血行を良くするために、普段からストレッチに取り組むとよいでしょう。